
王様と尻。
「うひやひやひや」
尻を丸出しにした男が樽の中をのぞき込み笑っている
その男はエプロンしか身に付けておらず
最後に湯浴みしたのはいつなのか、
顔も体も真っ黒にすすけている
「ぬぅ?あの者はなんじゃ、みてまいれ」
狩りを終え帰路につく王様が男に気がつき従者に申しつけた

「おぬし何をわらっているのだ」
「へ?いやぁ、樽の中にロバがいるんだよ」
「何?どれどれ・・・」
従者が王様に駆け寄り耳打ちする
「王様、とんだうつけでございます。
樽の中の水面に映る自分の顔をロバと勘違いして
笑っておるようです」
「うふぇふぇ よきかな、連れてまいれ」
護衛兵に両腕を掴まれて引きずるように
王様の前に連れてこられました
「これこれ、そちは何故そのような格好なのだ?
尻が丸見えではないか」

男はきょとんとした顔をして言いました
「オレはブリテインの酒場で働いていたのだ
けれど、つまみ食いばかりするので
身ぐるみ剥がれて追い出されたのだ」ぐすっ
「うふぇふぇふぇよきよき 帰る場所が無いのであればついて参れ」
王様の行列の後ろを男はとぼとぼとついて行きました
数年後
「尻ッ!尻はどこじゃ」
「ははっ王様、ここに」
Invisibillityで姿を消して王様の警護をしていた男が姿を現した
王様に拾われた男はお城で教育を受け
今では王様直属の魔法使いである
「尻お腹がすいたぞ」
男が待ちかまえていたかのようにバナナを差し出す
王様は満面の笑みを浮かべバナナを頬張る
男は王様の喜ぶ顔を横目に微笑んだ

「尻お腹がすいたぞ」
ペットのオウムが小馬鹿にしたように王様の言葉を繰り返す
男は苦々しい顔でオウムに一瞥をくれた
オウムはすまし顔である・・・
そんなやりとりを王は知ってか知らずか
「そうそう尻よオウムは飽きたのでフェニックスを捕まえてまいれ」
「ええっ不死鳥を?」
「なんじゃ、文句でもあるのか」
「いいえ、すぐに捕まえてまいります」
数日後男は王様に叱責されている
「なぜ捕まえてこぬのじゃ」
フェニックスに丸焼きにされて這々の体で逃げ帰ってきた男は
ぐったりとしていた

王様は無理を承知で男に命令しているのである
「この次こそは、王様・・・・・・・」
王様とオウムが声を揃えて言った
「もうよいわ、下がれ」
男はうなだれたまま肩を震わせた・・・・
王様の誕生祭が近くなってきたある日の事
「尻ッ!尻ッ!尻はおるか!」
「ははっ、王様」
王様は事も無げに言った
「尻、誕生日に太陽が欲しい」
「!!!!・・・ははっ」

男は動揺を悟られまいと返事をした。
男はAvariceの頂を目指し旅を続けた
途中クリーチャーと孤軍奮闘の末なんとか頂上にたどり着き
太陽に手を差し伸べたその瞬間
太陽の神の怒声が響き渡る
「神を恐れぬ者よその罪は重いぞ!」
男は深い谷底へ放り込まれてしまいました

王様の誕生祭が盛大に行われていました
城に運び込まれた男の命はもう尽き果てようとしています
「馬鹿者め、うつけが太陽など取れるわけがないであろう」
王様は男を抱きかかえながら
涙をポロポロと流しいつまでも泣いていました
s Mani In Vas Mani In Vas Mani In Vas Mani In Vas Mani In Vas Ma
朦朧とした意識の中で王様の体温を感じながら男は鼓動が
力強く脈打ち始めるのを感じていた
ni In Vas Mani In Vas Mani In Vas Mani In Vas Mani In Vas Mani In
次の年の誕生祭前夜
「尻ッ!尻はおるか」
「ははっ、王様」
男はすっかり元気を取り戻していた
王様はいたずらな笑みを浮かべ男に言った
「王は月が欲しいぞ」
「どちらの月がお好みでしょうかトランメル?フェルッカ?」
「両方じゃ」
男は王様と出会ったときに覗いていた樽を取り出した
「どうぞ」
男が微笑む
王様がのぞき込んだ樽の水面には
真っ赤な双子の月が浮かんでいました

顔をくしゃくしゃにして喜びながら王様は言いました
「よきよき、よきかな」
END

あとがき
2007年9月30日 JELLY
桜シャードにてとあるUO作家さんの著書を読み、大ファンになりました。
いつかは自分もUO本を書いてみたいと思っていましたが、
書いては捨て書いては捨てその繰り返しでもう本を書くのは無理だと思っていました。
それから作中の王様のモデルであるTokoronさん(王様)に出会い、
冒険や会話を通してこの作品の骨格ができあがり私なりの味付けをして
出来上がったのが「王様と尻」です
これからも仲間達との思い出を作品として残していきたいなと思っています。
*王の注釈*
はいどうも、王でありまする。
ある日尻が王に一冊の本を手渡しました。
その本にはこの物語が書かれていたのですが、「これは面白き」と思いまして
王のつたない絵を添えまして絵本風にしてみたのがこのページでございます。
まず強く申し上げておきまするが、この物語はフィクションであり
実在の人物の行動とは一切関係ありませぬ。
ではでは、王の簡単な文中の補足を付けたしまする。
21行目:オレはブリテインの酒場で働いていたのだ
(ブリテイン郊外にある某酒場で働いていたようである)
29行目:Invisibillity
(姿をを見えなくする呪文、第6サークルでマントラは
An Lor Xen)
34行目:王様は満面の笑みを浮かべバナナを頬張る
(王の好物はバナナである)
41行目:オウムは飽きたのでフェニックスを捕まえてまいれ
(本物の王はこんな無茶は言わない)
58行目:誕生日に太陽が欲しい
(こんな無茶も言わない)
61行目:Avariceの頂を目指し旅を続けた
(ミノックの南にそびえるアヴァリス山脈の事。山の中にはダンジョン・コブトスがある。
尻いわく、「東の方にある山のほうが太陽に近い気がした」との事)
72行目:In Vas Mani
(第4サークルGreater Healのマントラ。秘薬とマナがもったいないが
王は回復魔法を使う事にしたらしい)
82行目:どちらの月がお好みでしょうかトランメル?フェルッカ?
(ブリタニアの空に浮かぶ二つの月)
尻殿の絵本風物語、いかがでしたでしょうか。やはりだてに尻を出してませぬね。
よきかな。